「Instagramの運用代行サービスって、どうやってアカウント運用しているの?」
「私たちにもできることがあれば、ぜひ教えてほしい!」
そんなSNS運用の担当者さまからの声をたくさんいただき、InstagramマーケティングメディアSAKIYOMIでは、ある新しい試みにチャレンジしたいと思います。
それが、実際に運用しているアカウントの立ち上げを「全て」見せてしまおうという企画【#マルミエ分析】です。
・なんでInstagramを運用しているのか?
・アカウントの設計はどうやっているのか?
・どんな施策を実施しているのか?
・実際にどんな成果が生まれているのか?
運用代行サービスでは、自社の運用実績としていくつか事例を出してくれますが、果たしてその運用がどのように成立してきたのか、気になるところですよね。SAKIYOMIでは、一切の隠し事を無しにし、全てを「マルミエ」の状態にして、アカウントを分析していきます。
さて、そんな【#マルミエ分析】シリーズ第1弾は、節約系キュレーションアカウントの「ためるん 〜節約情報を毎日発信!〜」を分析していこうと思います。
ためるん 〜節約情報を毎日発信!〜
1年間の運用で7万フォロワーにまでたどり着いた”ためるん”を、SAKIYOMIはどのように運用してきたのか。
これを読んでいただければ、SAKIYOMI流のアカウント運用をご理解いただけますので、ぜひ最後までお付き合いくださませ。それでは早速、”ためるん”を丸裸にしていきましょう。
集客チャネルとしてInstagramを選択した理由は?
ためるんのクライアントさまは、電力切り替えに関する事業を展開している企業さまです。皆さんもご存知かもしれませんが、電力切り替え事業において、契約を獲得する主な手法は「飛び込み営業」です。
しかし、昭和や平成初期と比較しても、現代においては飛び込み営業の受注率は圧倒的に低下しており、かつ昨今の新型コロナウイルスの影響で、対面で契約を獲得することが難しくなってしまいました。まさに、時代背景とマッチしていない営業手法に依存していたということです。
そこで、全く新しい集客/広報チャネルとしてInstagramに目をつけてくださり、SAKIYOMIにお声がけいただいたという背景があります。電力切り替えのターゲットはInstagramを頻繁に利用している層であり、Instagram上である程度の知名度/フォロワー数を獲得することができれば、自社サービスへの集客が容易になるからです。
どのようにアカウント設計したのか?3C分析を用いて解説!
ここからは、どのようにしてアカウント設計をしたのか、3C分析を用いて解説していきます。実際にSAKIYOMIでも用いているアカウント設計方法ですので、自社でアカウント運用を開始する際に、参考にしていただけると幸いです。
自社(Company)
まずは自社から考えていきましょう。自社商材が提供できるベネフィットとしては、「年間の電気代が数千円安くなる」というものがありました。各個人に合った電力プランを提案できるという強みがあるため、比較的どのような層が集まったとしても、しっかりとベネフィットを提供できる体制が整っています。
さらに、工事が不要なため簡単に切り替えができますし、初期費用もかからない、ポイント還元制度によってお得感もあるというポイントも押さえておきましょう。
顧客(Customer)
次に考えていきたいのが、上述したベネフィットを享受したいと考えている層はどのような人々なのか、という点です。数千円の節約に敏感であり、家庭における固定費削減を実現したいと考えているのは、間違いなく家計管理をしている主婦です。こちらが顕在層に当たりますね。
また、一人暮らしの方も大枠で捉えるとターゲットに入りますが、商材の強みとして、家族が増えるほど固定費が多く削減でき、メリットを感じやすいため、今回の運用ではひとまず一人暮らしユーザーはターゲットには含めないことにします。
ここからは、ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップにて、顕在層ユーザーのインサイト把握を行っていきます。なお、ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成方法に関しては、以下の記事をご覧になってくださいませ。
【ペルソナ×カスタマージャーニーマップ】Instagramアカウントのコンセプトを設計する方法とは?
ペルソナ設定
ためるんにおいては、以下のように設定しています。
・子供が2人いる家庭
・小学生低学年と保育園に通う子供
・旦那は会社員で主婦はパート
・世帯年収600万前後
・家計(貯金、子供の養育費)、お金、理想(マイホームなど)、家族、旅行、料理、掃除、育児などに興味がある
・育児と家事に追われて、うまくいかず、自己肯定感が低い
これらペルソナをもとに、カスタマージャーニーマップを作成していきましょう。
カスタマージャーニーマップを作成
作成したペルソナを元にカスタマージャーニーマップを描き、その中から導き出されたインサイト部分を以下に記します。
現状の収入に対する不満 / 養育費や老後の資金などが不安(家計)
→今の年収でいけるかも、明日からこうしてみよう
もうちょっと年収があったらこういうのできるのに(理想)
→もう少し時間とお金に余裕が欲しい
育児と家事に追われて汚いままになっているストレス(掃除)
→これ使えば簡単に綺麗に汚れ落ちそう、こうすれば汚れなくて済むのか
自分の時間が取れない、いうことを聞いてくれないストレス(育児)
→簡単に泣き止ませたい、子供の成長記録を見て共感
レパートリーが少ない、簡単にいっぱい作りたい(料理)
→これあったら確かに楽になりそう
これらは、日常生活の中で感じていることと、Instagram上で主婦に人気のあるコンテンツのデータを照らし合わせた上で、導き出している感情/インサイトの部分です。ためるんの場合は、割とネガティブなインサイトを抱えているターゲットが多いということがわかりますね。
こういった細かい感情に焦点を当て、不満を拾い上げて、そこを解消するようなコンテンツを発信することができれば、自ずとフォロワー数は伸びていきます。だからこそ、アカウント運用を開始する前に、ある程度主婦の悩みやインサイトを掘り起こしておく必要があるのです。
ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップから、発信するべきコンテンツを設定
インサイト部分が固まってくると、発信するべきコンテンツが定まってきます。今回で言えば、以下のようなコンテンツが該当してくるでしょう。
・家計管理
・収入増加
・資産運用
・固定費削減
これらのジャンルに加えて、コンテンツ内で比較検討がなされている「まとめ投稿」や、簡単なtipsですぐに真似できそうな「How to投稿」がコレクションされやすく、リーチ数が伸びやすいと考えられます。
また、大まかなジャンルの中から、さらに詳細なコンテンツを特定していく際には、ハッシュタグを検索し、大枠の投稿ボリュームからInstagram上でのトレンド感も確認しておきましょう。
ハッシュタグは人気で選ぶべき?Instagramのハッシュタグの使い方を解説!
競合(Competitor)
最後に、同ジャンルにおける競合アカウントの分析も行っておきましょう。分析したい観点としては、以下の通りです。
・どのようなコンテンツを発信しているのか
・どのような施策を実施しているのか
・どのようなトンマナのウケがいいのか
・どのようなコンセプトで運用しているアカウントが多いのか
基本的には、伸びているアカウントを探し、特徴を分析、大枠を踏襲し、細かい部分で差別化する、というアプローチを取ることが多いです。なぜならば、すでにInstagram上で伸びているアカウントは、伸びるべくして伸びているわけであり、それと違うアプローチを取る必要性がないからです。
ただし、丸パクリをしてしまうと、自社アカウントをフォローするメリットが存在しないため、細かい部分での差別化が必要になります。
ためるんは、以下で紹介するアカウントをロールモデルにおき、アカウント設計を実施しています。
節約ライフ!【節約情報を毎日発信】
・OLのキャラをたてている(32歳独身OL手取り21万と明確な設定)
・人気のレシピ系をうまく絡めた節約がコンセプトのアカウント
ケチな私の裏技大公開@節約エプロン公式
・OLという共感しやすい設定
・ハイライトのへの誘導とハイライトでの外部リンクへの導線
ferci【ビットコインが貯まるポイ活アプリ配信中!】
・お金周りのニーズを捉えるコンテンツを参考に
・リールもうまく活用している
ここまでの3C分析を通じて、ためるんというアカウントが誕生しました。それぞれの観点において、確認したい項目を列挙しましたので、それに従ってアカウント設計をしてみてください。
真似したい施策3選!
ここからは、ためるんで実施しており、かつこれを読んでいる担当者の方々にぜひ真似していただきたい施策を3つご紹介いたします。
3つの施策は、最終的な目的としているCVを達成するために「リーチ獲得(認知拡大)」「単純接触回数の増加(信頼獲得)」「CVまでの動線設計」のステップに分けてご紹介いたします。
リーチ獲得(認知拡大)のために真似したい施策
ここでは、ためるんの中で最もバズったフィード投稿とリール投稿を、なぜバズったのかを含めて紹介します。バズを生むためには、どのような観点で投稿を作成する必要があるのかをぜひ覚えていってください。
フィード投稿
ためるんで1番バズったフィード投稿
まず注目していただきたのは、「インスタを見て真似したこと」という表紙に使われているコピーです。こちらのコピー、最近のInstagram上でのトレンドなんです。ただでさえ、情報量の多いInstagramの中で、ユーザーが主体的に情報収集を行うことは、実質不可能に近くなっています。
そんなときに、すでに誰かがInstagramで見た情報を実践し、さらにその中から情報を取捨選択してくれているというありがたさ。こういった観点から、トレンドにあると言えますね。
また、衣食住関連のコンテンツは、全ての人に需要があるため、多くの人が目を止めやすいという特徴もあります。さらに、こちらのコンテンツではモノを紹介しているのですが、Instagramでは「コト」より「モノ」の方が伸びやすい傾向にあります。
なぜならば、コトで課題解決をするよりも、モノで課題解決した方が圧倒的に楽だからです。コトでの解決には、何かしらの準備が必要になってきますが、モノであれば対象のそれを購入するだけで解決してしまいます。
基本的にユーザーは怠けたいと考えており、それが無意識的に数値に表れているのは、Instagramの面白いところですよね。
リール投稿
1番バズったリール投稿
このコンテンツが伸びた理由は、2つあると考えています。1つは、コンテンツの性質上、滞在時間を延ばしやすいからです。自分が該当する年収を知るためには、随時スマホをタップする必要があり、画面を止めている間も滞在時間は伸び続けていきます。
さらに、他の年齢の年収を知るときにも画面を止め、ということを繰り返していくことで、滞在時間が延び続けていくのです。滞在時間が延びることで、コンテンツとしての質が高いとInstagramから判定され、リールのリーチ数は増加し続けます。これが1つ目の要因です。
もう1つの要因は、ターゲットのインサイトにうまく刺さったからだと考えています。社会的に見て、自分がどの辺の立ち位置にいるのか、気になりませんか?自分はお金をもらっている方なのか、そうではないのか。それを確認し、少しでも安心したいという気持ちがあるため、コンテンツに張り付き、滞在時間を延ばし続けてもらえるたのです。
これらの観点は、リールを作成する上で参考にできるポイントなので、ぜひ実践してみてください。
単純接触回数の増加(信頼獲得)のために真似したい施策
ユーザーとの信頼関係を構築するためには、「ストーリーズを活用した施策」を実施しましょう。具体的に言うと、ストーリーズの機能に実装されているアンケートスタンプや質問BOXを活用して、フォロワーさんたちに回答してもらうことを繰り返す施策です。
ストーリーズ施策を実施することによるメリットは2つ。1つは単純接触回数が増加することで、アカウントに対しての信頼度が高くなるというものです。人は、一度見たことがあるものよりも、何度も見ているものに対して心を許しやすくなる傾向があります。その効果を利用し、何度もストーリーズを通じてフォロワーと接触し、信頼関係を構築していくことで、エンゲージメント率の高い母集団を形成することができるのです。
もう1つは、親密度が高まり、アルゴリズム的にアカウントが優遇されるようになることです。詳細な説明に関しては、以下の記事で解説していますので、ぜひそちらをご覧になってください。
【2021年最新版】Instagramのアルゴリズムを編集長が徹底解説。
ためるんでは、このストーリーズ施策を実施したことによって、1ヶ月間でアンケートへの回答者数が倍増した成果(月初:1万回答、月末:2万回答)も上がっています。地道な施策ではありますが、間違いなく効果の出る施策ですので、ぜひ実践してみてください。
CVまでの動線設計を作成するために真似したい施策
CVを生み出すためには、Instagramアカウントの中でもしっかりと導線を設計しておくことが重要です。ためるんでは「インスタライブ」と「他チャネルとの連携」を実施しています。
インスタライブに関しては、専門家(FP)をインスタライバーとしてアサインし、アカウントの運用者であることをユーザーに認識してもらうことで、アカウントに対して権威性を持たせることに成功しました。その結果として、「専門家がお勧めするのであれば、やった方がいいのか」というモチベーションを醸成することができ、アクションのハードルを可能な限り低くすることに成功しました。
ためるんで実施したインスタライブ「月3万円/人で豊かに暮らす方法」
また、Instagramから直接CVに結びつけず、公式LINEに送客するという施策も実施しました。公式LINE内でナーチャリングし、より精度の高いCVにまで落とし込むことができています。
ためるんで生まれた成果を大公開!
ためるんを1年間運用したことで生まれた成果は、以下の通りです。
・1年間でフォロワー数7万人
・月間獲得リーチ数1,000万リーチ
・公式LINEへ150件/月
これだけ巨大な母集団を形成することができれば、新たなサービス展開を考案することも可能でしょうし、既存サービスへの影響も計り知れないでしょう。
しっかりとアカウント設計の部分から作り込むことで、大きな成果にまでつなげることが可能です。ぜひ今回ご紹介したさまざまな施策を真似してみてくださいね。
まとめ
SAKIYOMIが実際に運用しているアカウントの、全てをお見せする【#マルミエ分析】。今回はシリーズ第1弾として「ためるん」を解説してきました。
3C分析を通じて詳細な部分までアカウント設計を実施し、CVまでにステップを複数設けることによって、着実にCVにまで結びつける。簡単なように見えて、これの通りにやることはそう容易ではありません。
まずは実際に御社のアカウントの中で実践してみること。
もしその中で何かわからないことがございましたら、いつでもSAKIYOMIにご相談ください。
SAKIYOMIではwebセミナー(ウェビナー)や個別相談会も実施しております。分析ツールも提供しておりますので、Instagram運用に関してお困りごとがございましたら、お気軽にお声がけくださいませ。